◇土地区画整理事業で悪化 市民サービス縮小
「歯医者に行くにも出費が痛い」。精神障害者保健福祉手帳2級の名張市内の40代男性は嘆いた。
「福祉の理想郷」を目指してきた市は08年8月まで、1?3級の精神障害者の医療費を全額助成してきた。しかし財政難のため、同9月から条件を見直し、昨年9月からは2、3級は、自己負担額の半額を
ff14-rmt 支払わなければならなくなった。男性は低所得のため自立支援医療もあり、精神障害の通院負担は月1250円までだが、歯科治療など、精神通院以外の医療費が家計に響くようになった。
財政悪化は、このほか、ごみ袋の有料化などさまざまな形で市民サービスの縮小となって表れた。
その原因の一つは、100億円以上を投じた近鉄名張駅周辺開発の
「中央西土地区画整理事業」だ。94年、1平方メートルあたり10万8500円で売却を見込み、鴻之台?希央台地区などで保留地計約2?2ヘクタールを整備。08年に完了したが、いまだに一般販売保留地(当初計49区画、約1?6ヘクタール)の17区画に「売地」の看板が立つ。値崩れが続き、それらが全部売れても、赤字は12億円以上になる見込み。希央
台2の保留地を購入した30代の女性は、子どもが高校生になり、家が手狭になったため、07年12月に市内から移り住んだ。しかし地区の一戸建て入居者は数軒にとどまり、「周りの家が少なくてさみしい」とこぼす。
亀井利克市長は02年の就任早々、「財政非常事態宣言」を出し、財政立て直しを急いだ。実質公債費比率はわずかに改善したが、財政調
整基金残高は10年度当初予算で2億3287万円になり、県内ワーストクラス。市立病院の赤字も追い打ちをかける。景気後退による業績や雇用の悪化で、法人市民税収は前年度当初比約21?6%減という。
一方で昨年、旧長瀬小にヤマト運輸のコールセンターを誘致するなど、明るい兆しもある。亀井市長は3選へ向け「3年以内に500人以上の雇用を創
出する」と訴え、新人の辻安治氏は「名阪国道直結道路の開設」を主張し、企業誘致や観光振興を狙う。
皇学館大学社会福祉学部の岩崎利彦准教授(経済学)は「収入がないため、いきなりサービスを減らすというのはおかしい。サービス充実のためなら負担増は仕方ないという市民もいる。まずは情報公開して、市民にサービスを選択させなくてはならない」
と指摘する。「財政難という言葉で市民に不安をあおっている」という声もある中、まずは財政の中身を市民にわかりやすく知らせる責任もある。【宮地佳那子】
〔伊賀版〕
3月25日朝刊
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